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広告業界の未来

第5回 interview

広告業界の未来を語る[株式会社サイバーエージェント 取締役 高村 彰典 氏]

まずはじめに、サイバーエージェントという会社について教えてください。

当社サイバーエージェントは、インターネットにおける広告代理事業、メディア事業、Ameba関連事業、投資育成事業(金融)を事業ドメインとしておりまして、中でもインターネット広告代理事業においては国内No.1の規模を誇っております。また、「Ameba」を中心とした自社メディアを持っていることにより、お客様のニーズに合わせてよりスピーディーに対応できることが他社とは違う当社の強みだと思います。

自社メディアを持つことによって、競合メディアの広告を扱い難くなることはありませんか?

私どもの場合、メディア運営や広告販売のノウハウがありますので、同じようなメディアであればあるほど、逆に売りやすいという実感があります。また、今までの経験上、「一緒にやっていきましょう」というメディアさんが多いので、あまりそこが問題になったことはありません。むしろ、他社との差別化になっていると思います。

高村さんの担当分野を教えて頂けますでしょうか。

現在はサイバーエージェントの取締役として、8つの子会社(以下記載)の経営に携っております。

  • 株式会社フラウディア・コミュニケーションズ(女性に特化した提案型のインターネットメディアエージェンシー事業)
  • 株式会社シーエー・エイチ(インターネットマーケティングを主体とした広告事業を行う博報堂との合弁会社)
  • 株式会社サイバー・バズ(CGM専門の広告代理事業及びクチコミマーケティング支援事業)
  • 株式会社CAテクノロジー(SEO事業)
  • 株式会社サイバーエージェント・アドマネジメント(リスティング広告などのオペレーション事業)
  • 株式会社ウェブリアル(Webとの連動イベント制作事業)
  • 株式会社CyberZ(モバイル広告代理事業)
  • 株式会社TMN(著名人メディアに特化したマーケティング事業)

高村さんがサイバーエージェントに転職された経緯や理由についてお聞きかせください。

もともと当社社長の藤田とは同じ大学の出身で共通の友人を介してサイバーエージェントへ転職しました。転職する以前は商社におりまして、サイバーエージェントがネット広告を扱っている会社ということすら知らないで入社したんです(笑)。設立後まだ間もないころで、社員も10人ほどだったと思いますが、大企業でゆっくり成長するよりは「ベンチャーで早く成長したい」という思いが強く、入社を決めました。

商社からベンチャーというと、ものすごいギャップがあったんじゃないかと思うのですが。

完全に別世界でしたね(笑)。前の会社では管理部門にいたのですが「いついつまでにコレをやっておいてくれ」というような指示を受けて仕事をするのが当たり前だったんですね。それが突然、ベンチャーに移ったとたん、全部自分で考えて決めなくてはいけなくなりました。毎日電話して、アポとって、訪問して、企画書から何から全部自分で考えなくちゃならなくなって・・・・。まったく違うところに入ったって感じでしたね。最初は本当に何も出来なくて、もう少し営業が出来るかなって思っていたのですが、「こんなにも仕事ができないものなんだ」って思い知らされましたね、本当に。

そこから営業統括など数々の役職を経て取締役に至るわけですが、何が転機になったのでしょうか?

やはり「マネジメントをしたい」という思いが自分の中にあったことが大きかったと思います。一通り知識を覚えていくうちに、ノウハウや自分のやり方というのが見えてきて、営業としてはTOPの数字はとれるようになったんです。それにも関わらず、自分より数字を出してない人が先にマネージャーに昇格したりして、なぜこんなに僕は評価が低いんだろうって・・・。昔から部活のキャプテンや部長をしていたので、仕事でもリーダーやマネージャーになってマネジメントをしたいっていう思いはあったんですけど、仕事になったときにそのやり方が分からなくて。当時、営業は数字をあげて成果を残すことが凄く重要だと思っていました。「皆で大きな目標を達成するために何をするべきか?」「みんながもっと売れるには?」といった考えがなくて、自分のことしか見えていなかったんですね。自分自身の成長が少し停滞してたんだと思います。それに気づいたからこそ、今があるのですが、だからこそそういう人の気持ちがちょっと分かるんですけどね(笑)。

今後のインターネットメディアの展望をどのようにお考えですか?

個人的な意見になってしまいますが、インターネットメディア自体はSNSなど、プラットフォームを持っている所が最終的に強くなっていくのではないかと思っています。要は多くのユーザーに利用されているところが生き残るという事です。今、SNSなどにおけるアプリがたくさんつくられ、そこでのユーザー課金で収益をあげる会社が増えていますが、どんなにアプリを作ったとしても一時的な物でしかないので、そこで収益化していくためには、どんどん新しいアプリを作り続けなければならない。けれどもプラットフォームを持っている所は、プラットフォームがある上でのアプリなので、次のモノを考えることができる。ミクシィやグリー、弊社でいうとAmebaのような感じです。

インターネットメディアの収益化についてはどのようにお考えですか?

やはり広告とユーザー課金がメインとなっていくのではないでしょうか。インターネット広告は今後まだまだ伸びていきますし、メディア側としてもユーザーに対して課金できるサービスを増やしていくと思っています。
また、先ほどのインターネットメディアの展望というところと重なりますが、「メディアがデバイスによって左右される」というか、iPhoneやiPadといったデバイスに合わせたメディアがこれからどんどん生まれてくると思います。

デバイス・メディアが増えていく中で御社の役割や立場は?

iPhoneやiPadのように、デバイスのモバイル化が進む中、パソコンが常に身近にある「携帯」のような存在になってきていますので、そこにメディアとしての商機を感じていますし、メディアの数が増えてくることにより、より広告手法が複雑になっていくと思います。その時に、メディアとそのノウハウを持つ当社が、何か付加価値として提供できる部分がある気がしています。

今後の展開についてお聞かせください。

当社のサービスで「アメーバピグ」というFlashを使用した仮想空間のサービスがあるのですが、おかげさまで順調に伸びており、開始1年強で300万人が利用するサービスとなりました。4月14日から地方テレビ局でCM放映を開始し、5月中旬には関東圏でもCMを放映する予定です。このサービスは、3月から海外でもサービスを開始しました。今後も新たな機能やゲームを追加することで、今年9月までに利用者500万人を目指しています。また、このほかにもソーシャルゲームなどモバイルコンテンツの開発にも力を入れております。
当社には2名の専務がいるのですが、この2人がモバイルコンテンツ分野の担当役員となり、2010年度中によりビッグタイトルをつくったほうが副社長に昇格する、という「専務対決」を行っています。これは会社としてモバイルコンテンツに力を入れている、という意思表明であり、これにより社内も活性化されています。

非常に変革の早いWeb業界ですが、広告営業やクリエイターが、今後生き残って行くために、どのような事を念頭に置きながら仕事をすべきだと思われますか。

変化に対応できる人材が非常に重要になってくると思います。広告手法や人気メディアが変わる中、いつまでも同じやり方ばかりでは通用しません。自分が今までやってきたこととはまったく違うことが起こりうるので、それに対応できる力がもの凄く重要になると思います。

高村さんが人を採用する上で一番重要だと思われるポイントはどこでしょうか?

正直、キャリアはあまり見てないんですよ(笑)。謙虚で、目的意識が高く、コミットメント力があり、ゼロリセット出来るような人を採用するようにしています。前の会社やそれまでの仕事の事は一切忘れて、サイバーエージェントでゼロから学んでいけるような人が理想ですね。なので、広告をやってました、といった経験はあまり気にしていません。それは当社へ入社してから覚えてもらえれば良いと思っています。あと、当社の価値観に合うかは凄く見るようにしていますね。ちょっと伝え辛いのですが、前向きでどんどんチャレンジ出来そうな人とか、今までやってきたことにちゃんと理由付けを出来る人が良いなと感じます。

写真左から:高村氏、プロフェッショナルメディア 若村

最後に、高村さんが仕事をする上で重要だと感じる考え方を教えてください。

仕事をしていく上で重要なのは、「自分のビジョンや目的を明確にして、何をやればそこへ辿り着けるのか?という、自分のキャリアアップについてしっかり考えること」だと思います。途中で目的を見失ったりすると、突然辞めてしまったり、モチベーションが下がったりしますしね。それに、何事もまずは楽しむようにすることが大事だと思います。仕事をしていれば、良いときも悪いときもあるので、楽しくないと思っていても、意識として楽しいと自分に言い聞かせることが大事なのではと思います。

本日はありがとうございました。

interviewer:プロフェッショナルメディア 若村

PROFILE

高村彰典(たかむら・あきのり)。1974年生まれ、岡山県出身。青山学院大学卒業後、1997年興和株式会社に入社。1999年株式会社サイバーエージェントに入社。インターネット広告代理事業でトップセールスになり、2002年アドバタイジングビジネスユニット営業部門統括に就任。2003年サーチエンジンマーケティングを行う株式会社シーエーサーチの取締役に就任。2005年株式会社サイバーエージェント取締役に就任(インターネット広告事業本部管轄)。2010年現在、株式会社サイバーエージェントの取締役として広告代理事業連結の担当役員を務める他、グループ会社8社を管轄している。

渋谷ではたらく取締役のアメブロ

http://ameblo.jp/cyber/

株式会社サイバーエージェント

http://www.cyberagent.co.jp/