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広告業界の未来

第3回 interview

広告業界の未来を語る[比較.com 株式会社 取締役CTO 中尾 彰宏 氏]

まずはじめに、プログラミングに触れることになったきっかけについてお聞かせください。

中学校3年生でホームページを持ちまして、そのホームページに掲示板を設置したかったんです。 それで本を読みながら独学でPerlを勉強しました。

医大時代は、研究室でプログラムを組み、遺伝子解析をおこなったりしていて、 かなり医者よりなことばかりしていましたね。 なので、ITに行くなんてまったく思っていませんでした。

医師にならず、一般企業に入ろうと思われた心情は?

クリエイティビティの違いですかね。 医療の世界というのは非常にかたいんですよ。仕事の大部分はメジャーな病気の患者を診ることですから。

新しく作りあげたりするのではなく、こなしていくという作業が多い。
基本的には一般的なパターンを当てはめて、その枠の中でやっていく。 そこでクリエイティブなことやってしまうと、根拠がないので通らない。

でも、ビジネスに世界は新しいものを創造していくというか、新たなものを産み出して、作り上げていくっていう世界じゃないですか?そこに惹かれたんです。

ネット業界に踏み出してみようと思われたきっかけは?

やはりlivedoorですかね。ライブドアショックの直前期で、堀江さん・三木谷さん・村上さんの時代でした。
それでネット業界には漠然とやりたい仕事があるような気がしたんです。

医学部6年生の9月から就職活動をはじめて、1月に内定が出て、2月に医師の国家試験があって・・・・当時は本当にドタバタで、あまり考えている時間がありませんでした。
だからネット系を中心に10社ほど受けて、内定が出た中からミクシィ(当時:イーマーキュリー)を選びました。ミクシィを選んだのは、当時Alexaランキングで上位に入っていたからです。

PV数が大きなサイトで仕事がしたかった。それに決めていたことがあって、自社サービスがパッケージソフトみたいな仕事ではなく、自分で産み出す仕事をしたいっていうのは決めていました。
人のものを作ることに興味ありませんでしたし。

比較.comで働こうと思われた理由はなんですか?

学生時代2日間だけですけど、比較.comでバイトしてたことがあったんです。 その時に代表の渡邉と知り合いまして、いろいろとお付き合いさせてもらうようになったんです。
それから何度か声をかけて頂きまして、渡邉の事業を手助けしたいと思い比較.comに来ました。

比較.comの今後の展望や方向性についてお聞かせください。

これからもより一層比較サイトに特化してやっていく事。

これが今後の大きなポイントだと思っています。

より比較にフォーカスしていく。 「こういう比較ができるのか!?」というものを追い詰めて行きたいと思っています。
今までは、ただ単に広告を並べていただけでも、アフィリエイトとして成り立った時代でした。でもこれからは、もうそういった時代ではありません。

Webマーケティングの中で5~10%、あるいはそれ以上の流入シェアを比較サイトは持ち始めています。
「ユーザーの喜ぶ比較」そういうものを徹底して行きながら、より一層様々な比較軸をユーザーに提供していければと思っています。

例えばECサイトで買い物をする際にも、一晩寝かすということをしなければいけないと思っています。とりあえず買うものを決めたら、一晩寝かせてほしい。寝かせている間に価格変動が起きると思うんですよ。
その価格変動をちゃんと比較サイトで追えるようになっているといいなと思います。

ネットやアフィリエイト業界で、おかしいと思われることや、直していかなければならないと思っていることを教えてください。

リスティング広告は広告効果の指標であるCPA等、システムで自動的に計算してくれますが、比較サイトはリスティング広告に比べると、そういった部分で遅れていると感じています。
なので、『広告効果の見える化』を計って行かなければならないと思っています。

あと、アフィリエイト業界でいうと、クレジットカードの審査のように、各アフィリエイトサイトが信頼できるサイトかどうかという情報をシェアしたいですよね。「サイト評価機構」のような。
サイトの与信のようなものはできないので、何がそのサイトを「スパムで無い」と定義するのか?みたいなルールを決めたい。

あと、アフィリエイトでやらなければならないのは、重複してしまう成果の除去ですかね。複数のASPに登録していると、成果が重複してしまうんです。でもそれは、丁寧にシステムを組んであげると避けられることなんです。
そういったサービスを適切に簡単に提供している会社というのがない。そういうのがあるとアフィリエイトがよりクリアになりますよね。

今後のWebメディアをどのように考えてますか。

リアルタイム化が進んでいくと思っています。

これまでは自ら情報を取りに行っていたけど、これからは情報のスピードが更に速くなっていく。 つまりリアルタイムに入ってくる情報の量が多すぎてしまう。
でも人間というのはリアルタイムに生きていないんです。

すべての仕事を今日こなすことはできないですよね?
明日に回したり、明後日に回したりしなきゃいけない。そうすると「リアルタイムに入ってきていい情報」と、「入って来ない方がいい情報」を取捨選択しなければいけなくなる。
今までは、Webを使う層と使わない層に分かれていたけど、これからは、そういったものを使いこなすディープな層と、そうではない層の二極化が進むと思っています。

メディア側としての広告収益は、今後どのように変わっていくとお考えですか?

広告業界全体から言うと、アフィリエイトは一層伸びていくと思います。
アフィリエイト(成果報酬型サービス)は、インターネットメディアの中でさらなるシェアを持つようになるでしょう。それは、純広告がよりいっそう出しにくい景気が続くという意味でも。

サイトを作るうえで一番重要なポイントはなんだとお考えですか?

写真左から:プロフェッショナルメディア 若村、中尾CTO

正直に言ってしまうと「SEOでどこまでサイトが上位にあがってくるか」だと思いますね。

メディアの努力を全否定するようですけど、やっぱり検索エンジンの影響力は大きい。

ある特定の商品名で検索しても、アフィリエイトサイトが1位に来てしまい、2位の商品を発売しているメーカーのサイトにトラフィックを与えている。
こんな状況がしばらくは続くと思います。

ユーザー側が検索エンジンに依存しているうちは変わらないと思います。

最後に中尾さんが人生の選択において、大切にしてきたものを教えて頂けますでしょうか。

誰と出会うかだと思っています。
誰と一緒に仕事をしたいか。

転職するときっていうのは、なかなか相手を選べる立場じゃないですよね?
というよりは選ばれる立場だと思います。

そういうときに感じて欲しいのは、「サービスは一人歩きしない」ということです。
必ずサービスは人に乗ってやってくる。その時に、いいサービスが出来ている会社というのは、いい人がやっているということです。自分がそのサービスに合うか?合わないか?
それを感じて欲しいと思います。

interviewer:プロフェッショナルメディア 若村

PROFILE

中尾彰宏(なかお・あきひろ)。1981年生まれ。幼少期よりプログラミングに親しみ、大学時代は遺伝学・バイオインフォマティクスなど分子生物学と情報工学の複合領域での研究を行う。2006年 宮崎大学医学部卒業後、医師免許取得と同時にWebエンジニアの道へ。株式会社ミクシィへ参画し、日本最大のSNSであるmixiの開発に携わる。その後、美容外科や女性向けクリニックからも支持されるアンチエイジング化粧品の会社、株式会社ティーエージェントCTOとして、Web・システムの開発、マーケティング業務を行う。
2007年 早稲田大学在学中より就職応援サイト等を運営する株式会社ガクーを創業していた宮川耕氏との出会いにより、ホスピタリティアライアンス株式会社設立、取締役CTOに就任。Web2.0的なテクノロジーをベースに、革新的医療サービスを創る事業に着手。2008年 遺伝情報をもとに意思決定支援を行う会社として、株式会社ヒメナ・アンド・カンパニーを設立。代表取締役就任。同年9月には、比較.com株式会社(東証マザーズ:2477)の取締役CTOに就任。現在に至る。