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広告業界の未来

第4回 interview

広告業界の未来を語る[株式会社ファインドスター 代表取締役 内藤 真一郎 氏]

まずはじめに、ファインドスターさんの事業内容について教えてください。

弊社の事業内容は主に2つです。

1つ目は、我々自身が広告代理店をやっています。ただ、通常の代理店さんと違う点は、我々はニッチメディア。しかも、ニッチメディアだと広すぎるので、紙のメディア、尚且つ会員誌に特化している代理店という点が違う点ですね。お客様は、単品リピート商材を扱う通信販売会社がメインです。

2つ目が、広告業界の情報プラットフォーム事業。広告業界にはいろいろな情報があります。新しい広告メディアだとか広告各社の業績情報や成功事例、またセミナー情報など。そういう情報を我々はプラットフォーム事業として行っております。

御社の事業の強みについて教えてください。

まず、代理事業の強みについて申し上げますと、会員誌メディアの業界では、売上、シェア、共にNo.1と言われております。また、情報プラットフォーム事業については、こういった切り口での情報プラットフォームというのは、弊社がオンリーワンだと思っおりますので、新しい会員誌メディアや実績情報といった、広告業界の情報が集まるというのが、弊社の最大の強みですね。『情報が集まる仕組み』を持っていると思って頂ければ分かりやすいと思います。

自社メディアを持つ企業は数多くあると思いますが、うまくいっていない企業様が多い様に見受けられます。御社が軌道に乗った理由はなんだとお考えですか?

軌道に乗った一番の理由は、「ユーザーが喜ぶコンテンツありき」で自社メディアを作っている事だと思います。失敗している情報ポータルなどの自社メディアは、どこも広告の出し手を見ていますよね?ですから我々は、むしろ受け手側に集中して、「受け手側が喜ぶ情報とは何なのか?」というのを考えたのが良かったのだと思います。

例えば、我々ニッチメディアのデータベースというのは、情報の受け手側(会員)からお金をいただいている有料サイトなんですよ。ですから必然的に受け手を見るしかない。情報の出し手からお金をいただいていない代わりに、受け手が喜ぶコンテンツを載せなければならないんです。

私はよく「帰属意識」に例えるんですけれども、メディアが生き残るためには「どれだけユーザーの帰属意識を高められるか?」だと思っているんです。結局は、それが最後にコンバージョン(成果)につながっていく。だから、今生き残っているサイトというのは全部ユーザーオリエンテッド(ユーザー志向)なんです。情報の受け手側を見て行くことを徹底しているサイトということですね。

内藤社長がファインドスターを設立されるまでの経緯をお聞かせください。

これがすごく格好悪くてですね(笑)。もともとリクルートエージェントという人材紹介会社におりまして、その時に友人が建設関係(内装やリフォーム)のベンチャーを起業するということになりまして、そこに転職したんです。そうしたら1年後に倒産。

20代で3社目、しかも、人材から建設へというキャリアビジョンもないような、行き当たりばったり系の人に見られますよね、人事からは。俺の転職人生終わったな、みたいな(笑)。

ですから、もともと起業したいこともありましたし、倒産したこともあってある程度腹もくくれて。それじゃあ、起業するか!!ということで作った会社がファインドスターです。
勤めていた会社の倒産がきっかけということになりますね。

倒産した会社を経験して、起業されるのは怖くありませんでしたか?

それはですね、倒産そのものはまったく怖くなかったですね。雇われの身でしたし。
ただ、債権者会議で社長が「マグロ漁船乗れ!」とか言われてる訳ですよ、さすがにそういうのは怖いなと思いましたけどね。でもその会社がけっこう放漫経営だったんです。それに私は、根が楽観的というか、何やっても喰っていけるっていうのがあったので、ダメだったら土方して返すぐらいのノリはありましたね。

ニッチメディアを始めて以降、事業の転換期はありましたか?

実はこれまで順調だったのですが、去年初の減収減益を経験しまして。それが転換期と言えば転換期ですかね。ただ今年はV字回復で、過去最高売上が出ると思います(笑)。
この減収減益の原因は組織なんですよ。よく組織って1、3理論って言われますけど(10人、30人、100人、300人でマネジメントが変わるという理論)、数年で社員数を10人から70人まで一気に増やしまして、そのまんま勢いだけで突っ走ったら、まぁよくある話で、組織崩壊ということに(笑)。優秀なマネージャーを5人育てる方が優先なのに、優秀な人材を採用すれば結果はついてくる!後は経験だ!というところがいけなかったと思います。

あと、この段階で手を拡げてしまったんですよ。先ほど申し上げましたように、今でこそ通販業界と会員誌に特化していますが、2007年あたりから、これは行けるぞということで、不動産、金融、リゾートとなんでもやりました。BtoB、ルートメディア、フリーペーパーからネットまで。
ようは、戦線を拡げちゃったんですよ。結局、戦線を拡げてしまったことで、いろいろなところで非効率を産んでしまい、お客さんへのサービスが低下してしまった。

流通理論と一緒ですよね。品揃え増やすと、提案の幅が薄くなる。それこそ極論ですけど、鍋売っていた人が、バッグ売れるか?みたいな。ですので去年4月、私が広告事業部に戻りまして2つ方針を出したんです。
1つ目は、通販業界以外に行かないこと。それから売るメディアを会員誌にフォーカスすること。
2つ目は、中間管理職とのコミュニケーションをとること。私と中間層のコミュニケーションロスによって、優秀なマネージャーが抜けたりというのもありましたので。

あとは、価値観や理念の明文化というのを、おざなりにしておりましたので、そこもきっちりやりました。
「会社が何を目指しているのか?」「どんな価値観で経営しているのか?」そういうことの明文化をこの1年やったことが、今更ながらですけど、この広告不況の中でも最高売上を更新した理由じゃないかと思っています。

30人くらいの会社規模の時は、社員としょっちゅう飲みに行きましたけど、それを超えてくると「内藤さんとしかっり話したの面接の時だけです。」っていう社員が激増しますからね。それは無理ですよね、明文化しないと。それに気付くのに3年かかりましたね(笑)。

ファインドスターさんの今後の事業展開についてお聞かせください。

広告業界というのは、流通業10年遅れだと私は考えているんです。流通業というのは、だいたいが水平分業なんですが、まず小売業、総合百貨店なりGMS(ダイエーや西友のような総合スーパー)があって、次に商社、卸(おろし)があって、それでメーカーがあってみたいな。しかもそれが総合(業界がセグメントされていない)。でも今、そういう水平分業しているところは全部業績が落ちていますよね。
それじゃあ、今伸びているところは?というと、いわゆるSPA(製造小売業)と言われている垂直分業です。
代表的なところでいうと、ユニクロさん、ニトリさん、ABCマートさんなど。

私は、広告業のこれからは、水平分業から垂直分業へ移行して、まさにSPAの時代が来ると思っています。
それじゃあ、「広告業のSPAとは何か?」というと、「リサーチからCRMまで一気通貫で提供できるサービス」ということです。お客さんが広告打つときに、「売りに繋げて、尚且つロイヤルカスタマー化する」というところまでやらないと、結局のところお客さんは、売上は上がらない、費用も賄えない、ということになってしまう。だったら、リサーチからCRMまでを一気通貫で提供することで、お客様の売上・利益を伸ばすという企業が、今後生き残るんじゃかいかと思っているんです。
そうすると、必然的に業界特化型にならざるをえません。いろんな業界の全部をやるなんて、それはどだい無理な話でだからです。

ファインドスター自身も、代理事業で言えば、通販業界に特化した一気通貫モデルというのを思考しています。次の展開としては、「リサーチから、ロイヤルカスタマー化までのお手伝いをする」そういうワンストップソリューションをイメージしています。
プラットフォーム事業の方はと言うと、広告業界を活性化させるために、我々が持っている情報(成功事例)の共有ということで、有料セミナー兼、懇親会を企画しています。ようは横のネットワーク作りということです。これからの広告業界は、手と手を取り合って、英知を結集していかなければなりません。垂直分業になると、Aの業界で使える成功事例は、Bという業界でも使えるはずなんです。それぞれ業界特化型になった時に、じゃあ、業界特化型でも、異業界の成功事例というのを活かせるんじゃないの?ということになる。そのお手伝いをしたいなということが、今の方向性ですね。

それと、お客さまの売上を上げるための具体的なソリューションがなんなのかっていうことを、今後はおこがましいんですが、自分なりの経験で語っていこうと思っています。いろいろな業界でいろいろな成功事例が出てきて、それを皆がアウトプットしていく。そうすると、もっとこの業界が栄えますよね。

今後の広告業界はどうなって行くと思われますか?

そうですねぇ、まず市場で言うと、広告業界というものを2つに切り分けなきゃいけないですよね。

1つは今までのマスメディアという考え方。当然ここのところは、今後も減って行くでしょう。
もう1つは、広告以外のマーケットという考え方。広告以外のマーケットって、ものすごくたくさんあるんです。例えば販売促進というマーケットは正に広告以外のマーケットで、カウントされていない。CRMの部分もそうです。そういった捉え方でいえば今後伸びていくんじゃないかと思っています。広告業界っていう概念自体が、今後無くなっていくかも知れませんね。

あと、お客さんの売上貢献に対して広告業界をもっと直接的にしなければダメですよね。間接的にしていたんじゃ上に対して証明できないから、けっきょくは宣伝広告費削減とかそういうことになってしまう。売上に直結しているのであれば、減らしたりする訳がない。むしろ投資を増やすことが経営者として普通です。売上が上がるのであれば、みなさんもっと広告やりますよ。

マス広告とインターネット広告。この2つは今後どんどん様変わりしていくと思いますが、メディアという部分では、どのような形になっていくと思われますか?

そうですね。先ほどの話につながりますが、本当にユーザーを向いたメディアしか生き残らないと思います。
なぜかと言うと、ユーザーが広告をうさん臭いと思っているんですね。分かりやすい例で言うと、私の本が6月頭に出版されたのですが、その時にダイヤモンド社さんが日経新聞の朝刊に広告を出したんです。その日Amazon全体で180番、広告マーケで4番、これが1日で終わったんです。それからずっと1000番代みたいな。その1週間後に、土井さんというカリスマブロガーが、「ファインドスターの内藤の本面白いよ」と言ったら、3ヶ月連続トップになりました。日経新聞全国投資でたった1日なのに、土井さんのブログは3ヶ月連続1位。まさに、そういう時代が来ているということですよね。

広告の目的が、「広告主の為」にという時代ではもうなくて、「ユーザーのためにピンポイントでコンシェルジュサービスを行う」そういう風にメディアが変わってきています。ですからメディアの概念も変わります。もう広く告げる・・・広告という言葉があてはまらないかもしれません。

あと、人ってやっぱり「繋がっていたい」「共有したい」というものが根っこの欲求にありますよね。うまいものを食べたら、誰かと食べたことを共有したい、常に誰かと繋がっていたい、みたいな。なので私は、今後はこの二軸がないとメディアは生き残れないんじゃないかと思っています。

最近、枻出版(えいしゅっぱん)さんのお話をよくするんですが、枻出版さんがなぜこの不景気に儲かっているかというと、ようは、ターゲットを絞っているんです。さらに、トーハン、日販を通さず自分たちでディープなファンがいる売り場を開拓している。その結果、「ペット雑誌」ではなく「レトリーバー」、「バイク」ではなく「ドゥカティ」、「釣り」じゃなく「ブラックバス」のようになる。そこまで徹底している訳ですよ。
この「繋がっていたい」「共有したい」を彼らは徹底してやっていて、ライトニングという雑誌のリアルイベントには2万人もの来場者が来るそうです。実売8万部の雑誌に2万人。家族連れがいるとしても読者が8000人、10%集まるってすごくないですか?これは正に繋がっているわけですよね、読者同士がここで。 一番大きなポイントはそこなんですよ。

写真左から:プロフェッショナルメディア 若村、内藤社長

内藤社長が人を採用する上で、一番重要としているポイントはどこでしょうか?

価値観だと思っています。これは、お互いにとって一番大事ですね。
"価値観採用"という事を2年前から言っていますが、私会社というのは、家族だと思っているんですよ。ものすごく長い時間一緒にいる訳じゃないですか。結婚されている方は分かると思うんですが、好きだなんだで続くほど結婚って甘くないですよね(笑)。ですから、常に理念とか行動指針を私の社内ブログで書いています。ファインドスターという会社は、私の価値観で経営されておりますから。
それを内定者に読んでもらって、それでも良ければ来て欲しいと言っています。けっこうエグイことも書いてありますよ、読むとこの会社大丈夫か?ってなることもね(笑)。

じゃあ、ファインドスターの価値観で何が一番大事かっていうと、『みんなで幸せになること』なんです。自分だけ良い思いをしたいのであれば、それは成果報酬の会社に行ってくれと言っています。営業にも個人目標はありません、チーム目標一本です。ですから、給料上げたければ1人当りの営業利益を上げること。そうしたら自分も含めみんなの給料が上がるんで(笑)。ただし、20代の執行役員もおりますし、ポジションでは差は付けていますけどね。
そういう理念の経営をしておりますので、弊社の価値観に共感してくれる人を採用するようにしています。

転職、キャリアアップを考えている方に一言お願い致します。

広告業界のゴールは明確になりました。「お客さんの売上・利益を出すために何ができるか?」ということです。そういうキャリアがないと生き残れないんじゃないかと私は思っています。
今までのゴールって曖昧で、なんとなく認知促進だったじゃないですか。売るのは流通やSP任せだった。でも、これからのゴールはもう違う。
それじゃあ、自分はお客さんの売上・利益を出すために「何のスキルが足りないのだろうか?」と考えてみてください。「俺は新規のお客さんを集めることが得意だけども、集めたお客さんをCVさせてないな」「ロイヤルカスタマー化してないな」「だったらそこのスキルを磨こう」とか。媒体社さんだったら「自社のメディアに合う業界はどこだろう?」「お客さんの売上・利益を上げるために、メディアはどう変わるべきか?」とか。常にそういった発想でキャリアを作ることが私は大事だと思っています。
制作もそうですよね。良いメディアだって、良いコピーが無ければユーザーは集まらない。「じゃあ、いいコピーってなに?」、電話が鳴るコピーです。お客さんの売上に直結するコピーが良い制作であって、今までのデザイン的な考え方の「話題になる・何かの賞をとる」、私に言わせるとそういったものはまったく意味をなさないですね。話題になったからといって、「じゃあお客さん、幾ら儲かったんですか?」。その金額を言えなきゃおかしいですよね。でも、今までの広告業界ってそこを曖昧にしてましたよね。
その会社、その仕事で、「あなたはお客さんの売上に貢献していますか?」「利益に貢献していますか?」そこで「しています!!」と言えれば、それは生き残れると思いますし、そうでないのであれば、ちょっと厳しいんじゃないでしょうか。私はそれが重要だと思います。

interviewer:プロフェッショナルメディア 若村

PROFILE

株式会社ファインドスター代表取締役社長。

1967年鹿児島県生まれ。1991年日本大学農獣医学部(現生物資源科学部)卒業後、リクルート人材センター(現リクルートエージェント)に入社。 1995年に退職後、友人のベンチャー企業を手伝うが1年後に倒産。

1996年に株式会社アレスト(現ファインドスター)を創業。IT機器の広告をインターネットプロバイダの会員誌に出稿し、驚きの効果を実感する。

2002年にニッチメディアの広告代理事業に参入。同業界のパイオニアとして様々な媒体を発掘するとともに、同封・同梱広告、フリーペーパー、会員誌・会報誌、BtoB広告、店内広告、サンプリングなどのニッチメディア情報を集めたサイトを立ち上げる。

現在、ファインドスターの取扱媒体数は3000を超え、1100社以上の広告主や広告代理店と取引をしている。

株式会社ファインドスターURL

http://www.find-star.com/