米田 日本の動画クリエイティブについて、顕著な特徴を感じたことがありますか?
アレン テレビでいうと、日本のCMって海外ではいい意味でも悪い意味でも面白おかしく語られていて。バブル時代の頃は、あのシュワルツェネッガーやブルース・ウィリスが、「実は日本でこんなことをやっていたのか!」とネタになっていました(笑)。CMがコンテンツであるという認識が、どこの国よりも早かったと思うんですね。海外ですと、アーティストやセレブがCMに出演すると、「魂を売った」「セールアート的」とあまり良い目で見られません。日本では「タイアップをとった」「大企業に認められた」と、割と好意的に受け取られますよね。
米田 ちなみに、BREAKERは、映画会社のパラマウントと『ミッション・インポッシブル』のオンラインプロモーションを実施しましたよね。
アレン はい。アメリカで展開しているオンラインプロモーションが、日本では刺さっていないというデータがありましたので。日本向けを僕たちの方で新たに企画したんです。そのとき提案したのが、トム・クルーズ自ら、日本のYouTuber数人にミッションを出すというもので。その結果報告のために、YouTuberがトムの来日時に、直接トムに会うというストーリーでした。
米田 まさに、広告をコンテンツ化してしまうという考え方ですね。
アレン YouTubeにおいても、今後、どの国よりも広告仕事や営業案件がコンテンツ化されていると思います。そのような中、僕たちは、パラマウントのプロモーションのように、何かおもしろい、人が求め感動できるもの、「ストーリーが感じられるもの」をつくっていきたい。お金をもらったから、行儀良く「この商品素晴らしいです」ってやると、BREAKERならではの付加価値がつけられないと思っています。
米田 先ほどマネタイズのお話を伺いましたが、広告コミュニケーションとしての動画コンテンツの可能性はどのようなものでしょうか?
アレン 広告の出稿については、映像でいいますと、テレビからどんどんデジタルへ移行していくと思います。そして、デジタルのなかでもモバイルは顕著になるでしょう。視聴者の数も増えていくので、YouTubeのアドセンスの単価も上がっていく。同時にモバイルコンテンツをつくる会社やクリエイターが潤う環境になっていくと思うんです。潤っていけば当然コンテンツの質も上がっていくので、アメリカのようにモバイル中心のエンターテインメントワールドになると思います。
米田 今後、さらにモバイルに特化した広告が増えていくと?
アレン 広告代理店がきちっと仕切って、大型の予算でCMを制作するという流れは残るとは思いますが。BREAKERとしては、「ブランデッド・エンターテイメント」を目指したいと思っています。
米田 それはどういうものでしょうか。
アレン BREAKERと相性のいいブランドと一緒に、単なる商品の宣伝ではなく、商品やブランドが象徴しているクオリティーを新しいカタチで表現していきたいと思っています。「エンターテイメントであれ」「感動するコンテンツであれ」というような考えを持つ会社があれば、そことパートナーシップを結びたいですね。
米田 アメリカでいいますと「レッドブル」みたいな感じですかね。
アレン はい。レッドブルをひたすら飲んでいるような映像を作っているわけではなくて。レッドブルはエネルギーであるというところからコンテンツ制作をしているので、エクストリームブランドとして成長していると思うのです。
米田 企業カルチャーを伝えるために動画があり、動画がひとつのストーリーを担うといったところですね。ものすごくドメスティックで、ユーザーとのコミュニケーションが上手くいっていない会社が、BREAKERさんと組むとおもしろいかもしれませんね。たとえば、日本の伝統的な着物や醤油といったプロダクトを動画コンテンツでリブランディングするとか。
アレン カンパニーストーリーを、動画コンテンツでガラリと変えられたらおもしろいですね。そういうのがBREAKERとしても一番やりがいのある仕事だと思います。「ブランド・メッセージを、動画に置き換えて伝える場合、どうすればいいですか」という相談を受けたいですし、すでにそのような相談を受け始めていますが。まずは、コンテンツ・ファーストでBREAKERが知られるようになってから、そういう仕事を増やしていくというフェーズを考えています。世界につながるブランディングとか、次世代に刺さるAR動画の制作とか。他社にはできない、BREAKERならできることと言ったら、まさにそこですね。
米田 最後にお聞きします。BREAKER自体はどんな人材を求めていますか?
アレン ずばり「破壊者」!ですね(笑)。