時代を面白くする広告 - コミュニケーションの新しいカタチを探る。
        第2回 ゲスト
        
        アレン・スワーツ
        ブレイカ―株式会社 代表取締役

#02動画コンテンツの未来は、すごいことになる。

youtubeの先にあるもの。

米田  動画コンテンツ市場において、海外と日本を比べて、どのようなギャップを感じていますか?また、そのことについて、BREAKERとしてはどのように関わっていきたいですか。

アレン  アメリカのメディアの流れを言いますと、もともと日本の地上波のような3大ネットワークがあって、そこからケーブルテレビが普及して一家100チャンネルという流れになりました。そこでインターネットの登場により、メディアがより複雑になって、最近では、YouTubeや月100ドルを払ってネットフリックスに変えるという流れになっているみたいです。

米田  YouTubeに関しては、ケーブルテレビを見なくてもいいくらい、良質なコンテンツが揃っている、ということでしょうか。

アレン  そうだと思います。アメリカに比べると、日本はまだコンテンツが乏しいです。その理由として、オリジナルコンテンツをつくっているBREAKERのような存在がまだ少ないということと、大手メディア企業が、まだYouTubeを肯定的に考えていなくて、コンテンツを出していないということが挙げられます。ですが、この状況はもはや時間の問題だと思います。

米田  いま、動画におけるサブスクリプションの定額制が、世界中で騒がれていて。YouTubeもそうなるかもしれないと言われていますけど。それって“動画を無料で見る”という今までの文化を、どうマネタイズしていくかという大きな話につながると思うのですが。その点に関してはどうお考えですか。

アレン  YouTubeで認知されたクリエイターやヒットしたコンテンツが、動画プラットフォームの先のところでマネタイズできるかということです。たとえば、YouTubeでヒットしたものが、長編版としてネットフリックスで登場するとか、また、イベントとして広がるとか。音楽なら、YouTuberからコンサートの出演者になるとか、さらに、CDや本になるとか。そういうことです。軸としてあるのが動画で、今はたまたまYouTubeを使っていますが、よりいっそう視聴者に刺さる効果的なプラットフォームあれば、そこに乗り換えることも考えられます。

米田 BtoBに近いカタチなのでしょうか。ビジネスとしては。

アレン そのコンテンツに対し視聴者や支持者が多いということを理解している企業がBREAKERに仕事を頼む、というのが、目指したい図式です。

新しいクリエイティブが生まれる場所。

米田  ちなみに、BREAKERの未来について、どんな未来を描いていますか。たとえば2、3年後とか。

アレン  そうですね。日本が誇る、世界から認められているコンテンツブランドですかね。日本はもちろん、ロスや中国にも拠点があって。国を越えて、コンテンツやクリエイターの循環が起きて。さらに、BREAKERと動画プラットフォームを通して、エンタメ業界のいろいろなフィールドで成功する人が増えていくみたいな。こういったことは、ウチのポテンシャルを考えるとリアルに感じられるのですが。

米田  その拠点となるのが、まさにいま、僕たちがいるこのスタジオということになるんですね。バスケットのゴールがあったりと非常にユニークなスタジオですが、どういうコンセプトでつくられたのですか?

アレン  「BREAKER LAB」という名前なのですが、その名の通り、色々なものを研究して、新しいクリエイターやアイデアを生み出す場所として用意しました。撮影、プレゼン、イベントやパーティーもできて。レコーディングのできるブースもあるので録音も可能です。また、バーもあるので、クリエイター同士で気軽に飲みながらアイデアの交換もできたりします。文化を象徴するブランドには、「場所」が必要かなと思ったんです。オフィスの会議室をスタジオにするとか、そういうことではなくて。本当に新しいものが生まれるような・・・

米田  音楽の世界でいうところのCBGBとか、アポロシアターのような?

アレン  そうですね。ある種、コミュニティーの発信源のような場所で、クリエイティビティーが創発される場所になればいいのかな、と。クリエイターって、職人が多いんですよね。ひとりでコツコツと編集して。人と会わずに、作業している人達が多くて。だからといって社交的ではないという話でもない。なので、そういう人達が集まって、信用できる家族と思えるようなクリエイター達と盛り上がれる空間、インスピレーションをつくれる空間が必要だと思って、ここをつくったんですよ。

米田  いわゆる非日常的な空間ですね。

インスピレーションを作れる空間が必要

アレン  また、BREAKERとしては、教育機関のような役割も果たしたいと思っています。BREAKERアカデミーというような名前をつけて。今、エンタメ業界が変わろうとしていると同時に、映画学校やデザインスクールではなく、新しいカタチの教育が求められていると思うんですよ。2年間・4年間と通わなくても、世界に伝わるクリエイティブを発揮できるような。

米田  ちなみに、最近、アレンさんが注目している動画クリエイターは、どのような方ですか?

アレン  BREAKER所属のクリエイターに、『全力ヒロシ』というクリエイターがいるんですけど。50歳になってYouTuberになった人なんです(笑)。始めて2〜3ヶ月ぐらいなんですが、登録者がすでに4000人を超えていて。結構有名な人からコラボしたいって逆指名をされています。もともと役者志望の人だったんですけど、40代の時に会社を経営して、それをやめると大学に戻って。その大学時代の演劇部のクラスメイトが、今、うちに所属するプロデューサーだったんですよ。そういったつながりがあって、今に至るんですけど、彼には、すごく期待をしています。

米田  なんか、その生き様にストーリーを感じますね。

アレン  そうなんです。50歳になって脱サラというか、若い頃に抱いていた夢に挑戦していくという。

米田  おそらく5年くらい経つと動画コミュニケーションやYouTuberのみなさんのスタイルも変わっていくんじゃないかと思いますが、どのように進化していくとお考えでしょうか。

アレン  僕はアメリカの前例が日本にくるのかなって思っています。アメリカですと、YouTubeで映像作家として活躍していた人が、映画を撮るようになったり。YouTubeでの出演者が、テレビの出演者になったり、テレビのトークショーを持つようになったり。カバー曲ばかりやっていた人が、ブロードウェイのミュージカルの主演をやったりとか。YouTubeが登竜門となってあらゆるメディアに出世するという流れができるのではと思っています。なので、僕らは、最初からYouTubeの先の未来を見据えている人としか契約してませんし、YouTubeの先にあるビジネスを末永く一緒にできるようなつきあい方しかしていません。

#03 BREAKERが創る広告は、エンターテイメント。 #02 動画コンテンツの未来は、すごいことになる。